時間外労働と管理監督者
成人の日が1月15日とはならないんですよね。
少々さびしく感じる坂口です、こんにちは。
以前に懲戒解雇について記事にしましたが、今回は割増賃金と管理監督者についてです。
管理監督者とは
時間外労働をしたとしても管理監督者は割増賃金を請求することができないと労働基準法に規定されています。
(労働時間等に関する規定の適用除外)
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
別表第一 (第三十三条、第四十条、第四十一条、第五十六条、第六十一条関係)
一ないし五(略)
六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
八号以下略
では、この管理監督者とはどのような人のことを指すのでしょうか。
法規上直ちに明確ではなく、実質的に判断されることになります(昭22.9.13発基17、昭和63.3.14・発基150)
この実質的判断の基準は次のとおりとなっています。
人事権
一定の範囲で人事権を持っていることが必要です。
課長や部長といった役職は人事評価をすることもあって管理職と言われることが多いです。
しかし、人事評価権限のみでは人事権限である採用や解雇の権限を持っているとはいえないため、管理監督者ではありません。
経営権
店長などは店の権限を任されています。採用などの人事権も持っていることが大半です。したがって管理監督者のように思われるかもしれません。
しかし商品の選択や販売方法、販売価格を本社が決めているときは、店長は経営側ではなくその指揮命令に従う役職であって管理監督者とはいえないことになります。
先の人事権も含めて、経営とどれだけ一体となっているかが重要なポイントです。
名ばかり役職・名ばかり経営者は実質において経営側とはいえません。
待遇
会社内での待遇も判断基準です。
地位にふさわしい賃金や役職手当、ボーナスの支給であるかどうかも管理監督者かどうかを判断する重要な要素となります。
割増賃金の請求の可否
たしかに労働基準法において管理監督者は割増賃金を請求できません。
しかし、管理監督者というためには経営側の人間であることが要求されます。一般的に課長や部長には採用や解雇といった人事権限はありませんし、本社の指揮命令に従うしかない店長も経営側とはいえません。
つまり時間外労働に対する割増賃金を請求できることになります。
もちろん請求できることと、請求することは別問題です。
請求してしまったがために、会社にいづらくなってしまうことも考えられます。場合によっては不当解雇される可能性も否定できません。
それぞれの事情を総合的に判断する必要があるということです。
また、今回は触れていませんが、管理監督者以外にも割増賃金の適用を受けられないケースがあります。
労働に関する困りごとがあるときは弁護士または司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。
市の無料相談会や法テラスを利用するという方法もあることを覚えておくだけでも違うと思います。