司法書士のつぶやき

愛知県春日井市(勝川)の司法書士が日々の業務を通じて感じていることや、ニュースその他の雑感を綴っています。

レトロゲーム

前回のブログから約半年、まるで冬眠していたかの如く。
ご無沙汰しております、坂口です。

今までの流れから、いざブログを書こうと思っても内容のつまったものでなければいけないと考えてしまって、そっと閉じることが多かったのですが、そんなことをしては放置しすぎることになるため、少々内容の薄いものでも構わず投稿しようとこれをしたためています。

むしろ、内容に応じて文体も変更した方がよさそうです。

 

前置きがやたら長かったのですが、本題。

私は年齢的にファミコン(※)世代です。
しかし、大学院を修了しサラリーマンになった頃にはゲームをほとんどしなくなりました。
大人になるというのは、こういうことなのかなとうっすら思っていたのですが、最近また子供のころに買って実家に封印されていたスーパーファミコン(※)を引っ張り出してゲームをするようになりました。
(大人になることとゲームは関係なかったんや)

中古のファミコンスーパーファミコンのカセット(ソフト)を購入していわゆる「積みゲー」状態になっていますが、気にしていません。いつかやるでしょうから。

ファミコンスーパーファミコン任天堂株式会社の登録商標です

任意後見と法定後見の優先順位

 台風が過ぎ去り一気に肌寒くなったように感じる坂口です、こんばんは。
 当事務所は目立った被害はありませんでしたが、被害に遭われた方はこの場を借りてお見舞い申し上げます。

任意後見と法定後見

 先日公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの研修を受けました。
 その資料も参考に綴っています。

任意後見・法定後見とは

【任意後見】

 自己決定の尊重という観点から、「任意後見契約に関する法律」によって規律される民法上の委任契約の一類型です。
 つまり、判断能力が低下した場合には「自分で決めた」事務範囲(たとえば財産管理として預貯金の管理など)を「自分で決めた」人に代わりになって行ってもらう(委任する)制度で、契約によって成立します。
(この契約は公正証書で結ぶ必要があります)

【法定後見】

 民法で規定された要件に該当する場合に、家庭裁判所へ申立てることによって後見人(または保佐人・補助人)をつける制度です。
(法律上規定されているため、「任意後見」に対して「法定後見」と呼ばれます)

※詳しい内容については、当事務所のサイトをご参照ください。
 追って、こちらのブログにも詳細を記載する予定です。

競合する場合

 任意後見契約と法定後見が競合する場合はどちらが優先されるのでしょうか。

 原則として、任意後見契約が優先します。
 これは自己決定の尊重という理念からも導かれますが、次の条文からも導かれると考えられます。

任意後見法第10条(後見、保佐及び補助との関係)

 任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のために特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。

(2項3項省略)

 任意後見契約の登記とありますが、これは任意後見契約は公正証書で結ぶ必要があり、公証人はそのことを登記します。
 したがって、任意後見契約が締結されたことが登記されるわけです。

 さて、赤字で強調しましたが、この条文の反対解釈として任意後見契約が締結されている場合は、本人の利益のために必要がない場合は後見開始の審判等をすることができないということになります。
 つまりこの条文からも任意後見契約が法定後見よりも優先されると考えられます。 

 おわりに

 任意後見と法定後見のどちらが優れているかということを論じることは、意味がありません。
 それぞれにメリット・デメリットがあるからです。

 ご自身にとってどちらを選択したほうが良いのかは、一概に言えません。
 それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握したうえで選択することをおすすめします。

読書の習慣

空の雲がとても高くなり、もう夏ではないなと感じている坂口です。
よく考えたらもうすぐ10月なので当たり前でした。

本を再び読むように

大学生時代は理系文系関係なく周囲に読書家がかなり多かったため、元々あまり本を読んでいなかった私も焦って読み漁りました。
ちなみに特定のジャンルに絞ろうとはしていませんでしたが、新書やブルーバックスが多かったように記憶しています。

大学院生時代以降はかなり本から遠ざかっていましたが、最近またちょくちょく時間を見つけては短時間とはいえ読み始めています。

何故読まなくなってしまったのか考えてみると、大学院では英語論文ばかり読まなければいけなかったし、サラリーマン時代は他のことに没頭していました。
この資格の勉強をするときも当然活字とにらめっこ。今の仕事をするようになっても文章との戦いです。

単純に「プライベートで活字はNo thank you」という状態でした。
しかし、よくよく考えてみるとネットニュースなどパソコンやスマートフォンで活字に触れ続けています。

基本的に紙に印刷された文字が好みです。
生活環境で随分変わってしまったとは思うのですが、久しぶりに(専門書以外の)本を手に取ってみると少し懐かしい感じがしました。

先日のブログで普段読まない本を段ボールにしまいこんでいるという記事を書きましたが、発掘作業に勤しみそうです。

通称人間をダメにするソファ(体にフィットするソファ)に身体を埋もれさせながら本を読むのは快適です。
※ただし途中で寝る可能性あり

書籍について

最近朝晩はめっきり涼しくなりましたが、日中は汗ばむくらいのときもあります。
体調管理大事ですよね…

あなたは本を処分できますか?

業務とはほぼ関係ないことで恐縮ですが、みなさんは書籍などを処分できるタイプでしょうか、それともできないタイプでしょうか。

私は完全に後者です。

衣類などはもうボロボロで着られない(たとえばTシャツだと首元が伸びきってしまって見るに堪えない)と判断したときには、容赦なく捨てることができます。
しかし、本(と昔買ったCD)の類はなかなか処分できません。

最近は中古買取店などがたくさんあります。
読まない(聴かない)ものを溜めこんでいては、部屋のスペースを圧迫するだけと分かっているのですが、一歩を踏み出すことに躊躇してしまいます。

マンガ類だけはほとんど処分(買取り)してもらったことがあります。かなり断腸の思いでしたが…
それ以外についてはどこかしらに(家または実家)に今も眠っています。

部屋をすっきりさせるためには

私の場合、すぐに再読しようとしないものについては段ボールにしまっています。
(ちなみにしまう時はなんとなくテトリス[1]みたいでちょっと楽しかったりします)
そして、本がぎっしり入っている段ボールはクローゼットなど目立たないところに保管しておきます。

こうして段ボールに詰め込まれて収納スペースなどにおいやられた本は、ごく稀に読みたくなった時が大変です。

なまじ無駄な空間を作らないようにしまいこんだものですから、取り出すときも一苦労。
それでもこうした方法を止められないのは元理系の性なのかもしれません。

[1]テトリス著作権および商標権は、現在ザ・テトリス・カンパニーからテトリス・ホールディングに委譲されている

公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

最近、近くの喫茶店でモーニングまたはランチをいただいています。
ヘルシーメニューなので、とても重宝している坂口です。

公正証書遺言と自筆証書遺言の違いについて

遺言を作成しておくことは、相続を「争族」にしないためのひとつの手段です。
インターネットで「遺言作成」と検索をすると、公正証書遺言・自筆証書遺言という言葉を目にすることになると思いますが、その違いについてを今回のテーマとします。

公正証書遺言とは

二人の証人とともに公証人役場で遺言の内容を口頭で公証人に伝え、文書化してもらうもので、遺言の原本は公証役場で保管してもらえます。

メリット
・偽造の心配や紛失の心配がほとんど無い
・全国どこの公証役場からでも、遺言の有無を調べられる
・公証人が作成する為、不備により無効ということがない
・死後に、遺言書の検認申立を行う必要が無いため、相続手続がスムーズに進行しやすい

デメリット
・証人を2人頼まなくてはいけない
・証人に遺言の内容が知られてしまい、内容が漏れる恐れがある
・必要な書類を持参していかなくてはならない
・公証人に手数料を払う必要がある

自筆証書遺言とは

本人が全文を手書きするものです。
形式が法律で定められているため、どれか一つでも足りないと無効になります。

メリット
・自分で書くのでお金が掛からない。
・遺言を書いたことを秘密にしておける。
デメリット
・誤字訂正を含め形式が厳格であるため、遺言書が無効になることがある
・誰かに偽造されたり隠されたりされる可能せいがある
・遺言が発見されないことがある
家庭裁判所遺言書の検認申立を行う必要がある

まとめ

このように、それぞれメリットデメリットがあります。
作成費用やご家族などの関係などを考慮してどちらを選択するか決めた方がよいと考えます。

最近では市販の遺言書作成キットなども販売されていますので、そちらを利用されるのも手ではあります。
しかし、遺留分(※)を侵害している内容だった場合など、せっかく遺言書を作成しても結果的に「争族」に発展する可能性があるため、不安に感じられたときはお近くの司法書士や弁護士へのご相談をおすすめします。

遺留分とは

法律上守られている相続人の権利のことを指します。
詳しくは遺言書とその費用をご参照ください。

生命保険金は相続財産に含まれるの?

最近ゲリラ豪雨に遭うことが心なしか多くなっているように感じる坂口です。
そもそも昔はこの「ゲリラ豪雨」という言葉がなかったような気がしますが、気候が変わってきているのでしょうか。

以下の記事は以前のBlogの転載(一部加筆修正)となります。

生命保険金と相続財産

以前、次のようなご相談がありました。

「生命保険金は相続財産に入るのでしょうか」

原則として生命保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象にはなりません。
保険は受取人を指定した場合、他人のための保険契約だからです。

 保険契約者の意思を合理的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、右の如き指定も有効であり、特段の事情のないかぎり、右指定は、被保険者死亡の時における、すなわち保険金請求権発生当時の相続人たるべき者個人を受取人として特に指定したいわゆる他人のための保険契約と解するのが相当であつて...保険金受取人としてその請求権発生当時の相続人たるべき個人を特に指定した場合には、右請求権は、保険契約の効力発生と同時に右相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産より離脱しているものといわねばならない。
最判昭40・2・2(最高裁判例情報より引用)

保険金受取人について

受取人を指定しなかった場合はどうなるのでしょうか。

保険証券の死亡保険金受取人欄に「相続人となる場合は記入不要です」と注意書きがあった場合は法定相続人が受取人となります。
では保険金は相続人同士で平等かというとそうではなく、原則として各保険金受取人の持つ権利の割合は、相続分の割合です。

保険契約において、保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれているものと解するのが相当である。
最判平6・7・18(最高裁判例情報より引用)

あちこちに「原則として」とありますが、たとえば生命保険金額が大きく、保険金受取人である相続人とそうでない相続人との間であまりに不公平な状態だった場合は、相続財産とみなすことになります。

保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。
最判平16・10・29(最高裁判例情報より引用)

この「あまりに不公平な状態」は遺産の総額に対する比率や同居の有無、介護などの貢献度合いなどから判断されます。

実はこういった内容のことを小説に仕立ててみようと少し書いてみたのですが、文才があまりないということに加えてそもそも需要がないという判断から、お蔵入りさせました。

賃貸オーナーから出ていけと言われたけれど、出たくない

暑さで溶けている坂口です。
更新が止まっていたのは暑さのせいということにしてください。

賃貸オーナーから「出ていけ」と言われてしまった

家主(賃貸オーナー)も賃貸借契約解約の申入れをすることができます。
しかし、借主は借地借家法によってかなり守られていることを知っていますか?

家主からの突然の解約申入れ 

家主が出ていけと主張するということは、解約の申入れをしたことになります。
申入れの日から6か月経過することによって終了となるのですが、この主張が通るためには家主に正当事由がないといけません。(借地借家法26乃至28・旧借家法1②)

この正当事由は次のような点を判断材料とします。

・家主、借主それぞれが、その建物を使う必要性
・建物賃貸借に関係するこれまでの経過経緯
・建物の利用状況
・建物の状態(老朽化している、修繕しなければならななど)
・立退料を提供するかどうか

仮に賃貸借契約書に正当事由がなくても出ていけと主張することができて、その時に契約が終了するという記載があった場合でも、借地借家法に沿わない契約は無効であると明記されています。(借地借家法29)

したがって、突然出ていけと言われたとしても、6か月は出ていく必要性がありません。
※無断転貸や賃料不払いなどの場合は別となります

裁判で争うことになったとしても、家主側に正当事由がない限りは借主が守られることになります。

もし、突然このような主張を家主にされた場合でも、本当に出ていかなければならないのかどうか、一度弁護士や司法書士に相談されてみてはどうでしょうか。

会社の登記を放置しておくと

最近体力的にしんどいのですが、歳のせいなのか季節的なせいなのかわからず頭を悩ませている坂口です。
運動不足に対して目を背けているとも言う。

 

会社の登記事項に変更があるのに登記しないでいると

先日、次のような話を耳にしました。
「重任って何?」

役員の任期と重任について

株式会社の定款には任期に関する規定が記載されていることが多いです。
※記載されていない場合は会社法の規定により取締役は2年、監査役は4年です(委員会設置会社を除く。)

役員の任期は定款にどのような記載があるのかによるのですが、そもそも2年ごとだったり長ければ10年ごとだったりします。会社法上、どんなに長くても10年で一度役員は退任することになります。

任期が満了した際に、同じ人が再び同じ役職に就くことを「重任」と言い、何事もなければ重任するケースがほとんどです。

現在存在している有限会社については、任期の規定がないため一度就任したら死亡や解任・辞任といった退任事由がない限りは役員の地位に留まっていることになります。
(これから有限会社を設立することは会社法上不可能です)

登記期間について

(変更の登記)
第九百十五条  会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2  (略)
3  (略)

911条は省きますが、たとえば役員が亡くなったり、本店を移転したりといった場合は登記事項に変更が生じたことになります。

「重任」という言葉は、任期満了後時間をおかずに就任することを意味します。
つまり、「登記事項に変更が生じている」ということになり、その変更登記をする必要があります。

変更登記を放っておくと

(過料に処すべき行為)
第九百七十六条  発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役(中略)は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一  この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。

二~(略)

 

登記期間内に登記申請をすることなく、その後において別の理由で申請をする場合でも、後者の登記申請が登記期間を経過していることを事由として却下されることはありません。

しかし、この過料の制裁を受ける可能性があります。

では登記期間を1日でも遅れて登記申請をした全ての会社が必ず過料の制裁を受けるかというと、そうではないようですが、この基準は明らかではありません。

定款を確認してみましょう

登記をすっぽかしてしまう主な内容として、役員の重任登記が挙げられます。

役員の任期については、上に書いたように定款に規定されているか、もし規定されていなければ取締役は2年、監査役は4年です。
しかし定款で役員の任期は就任の日から丸〇年と定めていない限りは、単純に就任してから丁度〇年で任期満了とはなりません。

実際は複数の項目に基づいて計算する必要がありますし、その根拠となる会社法や定款の規定を正確に記載すると判りにくくなってしまうため、便宜上のような書き方をしています。

長い間役員に関する登記を申請した記憶がない方は、一度司法書士事務所に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
その際は、定款過去の定時株主総会議事録を用意していただければスムーズな回答が返ってくるはずです。

司法書士と財産管理業務について

台風により車の運転を控えた方がいいと判断したため、一部業務を明日に先送りした坂口です。

事務所に籠ってできる業務や後見関係でどうしても出先へ赴かなければならない内容についてはこなしました。

 

司法書士と財産管理業務

サイトのアクセス解析をしたところ、財産管理で検索をかけていらっしゃる方が一定数いるので取り上げることにしました。

業務として扱うことができるかどうか

司法書士法第29条

(業務の範囲)
第二十九条  司法書士法人は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、次に掲げる業務を行うことができる。
一  法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部
二  (略)
2  (略)

法人の業務範囲に関する規定ですが、「すべての司法書士」とあるため、法人に限定されません。

司法書士法施行規則第31条

司法書士法人の業務の範囲)
第三十一条  法第二十九条第一項第一号 の法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。
一  当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務
二  (略)
三  (略)
四  (略)
五  法第三条第一項第一号 から第五号 まで及び前各号に掲げる業務に附帯し、又は密接に関連する業務

5号については、付随する内容のみならず、「密接に関連する」内容についても業務であるとされています。つまり密接に関連する内容であれば付随ではなく独立した業務も範囲内となります。

この2つの規定により、財産管理も司法書士の業務範囲内にあるといえます。
ただし、弁護士法第72条との関係から、事件性(紛争性)がないものに限られます。

具体的な財産管理業務の内容について

主な財産管理業務の具体例は次のようになります。

遺産(相続財産)の管理・承継
  • 不動産や預貯金、株式、投資信託などに関する名義変更手続き
  • 名義変更までの財産管理
  • 遺言執行者のサポート

遺産分割協議書なども作成することができますが、相続人間の調整といったことをすることはできません。
揉めている場合に家庭裁判所へ調停を申し立てることは可能ですが、弁護士と異なり代理人になることはできません。

身体的理由などによる財産管理

主に任意後見契約とセットで契約締結をすることが多いと思われますが、判断能力がしっかりしている場合でも身体が不自由であるなどの理由から、以下のような内容についての財産管理を行うことができます。

  • 金融機関の口座管理
  • 施設利用料などの支払い
  • 賃貸不動産管理         など
任意売却

不動産の任意売却(いわゆる「任売」)についても財産管理業務の一環です。

しかし、配分表の作成において担保権の順位どおりではなく配分等を任意に決めたり弁済額について減額交渉等を行うことは債務整理における裁判外和解交渉であり、簡裁代理権の範囲を超えることになります。

また、司法書士宅建業法上の資格をも有していない限り不動産の仲介業務を行うことはできません。

 留意点

制度上、財産管理を行う司法書士が監督を受ける仕組みがありません。
定期的な報告義務を委任契約書に盛り込むといった委任側の監督権行使方法の確保と明確化や公正証書による契約締結が望ましいと考えます。

また、本人の判断能力が低下してきているという場合には、成年後見制度を採用するべきです。

お墓と相続財産

法テラスのツイートをネタにしようと考えた坂口です、こんばんは。
昔のブログで記載した内容をブラッシュアップしてこちらに記載することも考えています。

お墓は相続されるの?

ここに結論が書かれていますが、もう少し詳しく解説したいと思います。

民法に規定されている祭事に関する権利の承継

(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2 前項の本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)

祭祀 【さいし】
神や祖先を祭ること。「祭祀財産」とは墓、仏壇、神棚などのこと。遺産相続の際に控除される。「祭祀主宰者」とは墓などの祭祀財産を管理したり、葬儀の喪主を務めるなど祭祀を行う者。

Weblio辞書より

この祭祀を主宰する人のことを祭祀主宰者といいます。要するに喪主などのことですね。

祭祀主宰者は

  1. 被相続人の指定
  2. 被相続人の指定がない場合は慣習
  3. 被相続人の指定も慣習でも明らかでない、または争いがある場合は家庭裁判所の審判

によって定まります。

被相続人の指定方法に制限はありません。生前行為でも遺言でもよく、口頭・書面・明治・黙示を問いません。

祭祀財産

系譜・祭具及び墳墓と規定されています。

系譜
歴代の家長を中心に代々の系統を表示するもので、系図など

【祭具】
位牌や仏壇のことで、これらとセットになるもの(従物)など
簡単に言えば祭祀のための道具ですね。

【墳墓】
遺体や遺骨を埋葬している設備のことで、墓石や墓標、埋棺など
※敷地である墓地については墳墓に含まれるか争いがあります

祭祀財産の承継

祭祀財産を所有する被相続人が死亡したとき、祭祀主宰者が法律上当然に承継することになります。主宰者になることを辞退できないですし、祭祀財産の承継を放棄することもできません。

指定されたら厄介と思われるかもしれませんが、祭祀義務を負わされるというわけではありません。
さらに、承継後に主宰者が祭祀財産を処分することは自由なので、相続人が反対したり返還を求めることはできません。
(広島高判昭26・10・31)

(結論)祭祀財産は遺産分割の対象にはなりません

祭祀財産に含まれるものについては祭祀主宰者が当然に承継します。