司法書士のつぶやき

愛知県春日井市(勝川)の司法書士が日々の業務を通じて感じていることや、ニュースその他の雑感を綴っています。

相続登記の必要性について

金曜日の夜から日曜日までで少なくとも18時間はゲームをした坂口です、こんにちは。
はっきり言ってやりすぎです。

(本題)

相続の手続きとして、金融機関の名義変更や払戻しをされない方はまずいらっしゃらないと思います。
では不動産(土地や建物)も絶対に名義変更を行わなければいけないものなのでしょうか。

相続による名義変更(相続登記)

法律で名義変更をしなさいと定められてはいません。
したがって、放置していても法的には問題ないのですが、次のような弊害が起こりうるため、基本的には名義変更をおすすめしています。

必要書類が増えてしまう

登記において、人の同一性は住所と名前で判断します。
(法務局も住民票上の住所で確認をとります。)

したがって亡くなった方の戸籍の他に、住民票の除票(除住民票)が必要となります。

この除住民票は亡くなった時から5年で役所は廃棄してしまいます。
5年以上経過してしまうと、取得したくても役所にはありませんよと言われてしまうことになり、亡くなった方の同一性が確認とれないということになってしまいます。

(戸籍の附票も同じように保存期間が5年です。)

もちろん、取得できないと名義変更できないというわけではないのですが、法務局に対して「上申書」という書類を追加で提出しなければなりません。
また、役所から廃棄しましたよという証明書も必要となります。

このように必要な書類が増えてしまうため、費用がかさんでしまいます。

(何回かに1回はこのようなケースです)

当事者が増えてしまう

長期間登記しないでおくと、次の相続が発生してしまう可能性もあります。

たとえばお子さんがいらっしゃらない方が亡くなったとき、親御さんがすでに他界している場合は兄弟姉妹は相続人となります。

このケースでは、相続人もご高齢ということが多いため、名義を変える前に次の相続が発生してしまったということも間々あります。

遺言書がある場合は別ですが、遺産分割の協議は相続人全員で行わなければ名義を変えることができません。
もしも次の相続が発生してしまうと、相続人の相続人がこの協議の当事者として登場してきます。

普段はほとんど接点のない方々で話し合いをしなければならないということもあり、纏まるものも纏まらないかもしれません。
実際、そのようなケースはまだ経験していないのですが、同業者の話として耳にしたことがあります。
(経験したくはありません…)

売却できない・担保設定ができない

不動産を売却しようと思った時に、この名義変更は済ませておく必要があります。
売りますという意思表示を亡くなった方はできないからです。

同様に、土地を担保に融資を受けようとしても、担保設定の意思表示ができないことには、担保とすることはできません。

そこで名義変更を行うことになるのですが、亡くなってから長期間が経過していると必要書類が増えるといった弊害が発生してしまいます。

権利を主張できない

遺産分割協議によってご自身が不動産を取得することになったとしても、相続登記が完了していないとご自身に権利があるということを第三者に対抗することができません。

また、遺産分割協議書がなくても相続人の一人から法定相続分相続登記を申請することができます。

まとめ

法律上いつまでにしなければならないということはないのですが、上のようなことを避けるためにも、早期に相続登記をすることを強くおすすめします。