司法書士のつぶやき

愛知県春日井市(勝川)の司法書士が日々の業務を通じて感じていることや、ニュースその他の雑感を綴っています。

司法書士試験における書式の解き方~不動産登記法

今日はとても暖かいですね。
一時期外出するとくしゃみをしていましたが、季節の変わり目で体調を崩していただけであって花粉症に罹患したわけではないと信じています。

司法書士試験における書式について

特に隠していたわけではないのですが、某予備校の模擬試験(答練)書式添削業務を依頼されて今年で5年目となりました。

私自身の経験も踏まえて、書式に対する個人的な考え方を少し綴ってみようと思ったため、前回の続きではないことをご了承ください。

不動産登記法

体感にすぎませんが、商業登記法よりは高得点を狙いやすいと思います。
その為に注意すべきことは次のとおりです。

連件を強く意識する

ほぼ確実に言えることは、いわゆる連件崩れを起こしてはいけないということです。

たとえば、最初に所有権登記名義人住所変更登記(名変登記)を申請する必要があるにもかかわらず、これを見落としてしまうと連件の枠がズレてしまいます。
本試験での採点基準は謎に包まれているとはいえ、実務においてもこの申請を飛ばしてしまうと補正ではなく取下げとなるため、連件外しは致命的なミスと考えておくべきでしょう。

名変登記の省略要件についてもしっかり把握する必要があります。

この他にも生前売買などにおける前提としての相続登記の要否なども連件に関係するため、特に意識しなければなりません。

また、一の申請で足りるか分けなければいけないのかなど、連件にかかる注意点はたくさんあります。
ここを蔑ろにしてしまうと、折角実体判断は見抜けていても加点されないということになってしまうので、根気強く勉強をするとともに試験においても意識しましょう。

根抵当権の元本確定判断

根抵当権が出題されている場合は、元本が確定しているか否かの判断がセットになってきます。
この判断を誤ると後件の申請や登記できない事項欄を間違うという連鎖を引き起こします。

元本確定の判断が合否を分けるといっても過言ではありません。正確に判断できるようにしておきましょう。
そのためにも、事実関係だけではなく登記記録に確定期日が記録されているかどうかに注意を払わないと、足をすくわれてしまいます。

先の連件とも関係しますが、元本確定登記の要否についても把握しておかないと枠が外れてしまう事にも注意が必要です。

相続人の判断と相続分

相続が論点になっているときは相続人の判断が重要です。

相続人の判断を誤ると、後件の申請において義務者が変わってきてしまうため、申請人や添付情報もミスをしてしまいます。

数次相続と代襲相続における相続人の違い、相続放棄などに気を付けましょう。

注意書きについて

実体判断はできていても注意書きを読み飛ばしているがために連件の順番を間違うことがあります。
また、申請人の住所や法人の代表者名、会社法人番号などの記載が要求されているのか省略してもいいのかといったことにも意識を向けないと、余剰記載や記載不足となります。

いつもの通りと流し読みをしすぎないようにしましょう。

まとめ

不動産登記書式を解くときには、実体判断と連件の組み方に時間を費やしましょう。
連件を外してしまっては合格が絶望的となります。

細かいひな形が要求されている部分については、どのような申請が必要かということを試験官に伝わる程度で構いません。
正確に記載できていない限り加点されない可能性が高いです。

この試験では満点を要求されているわけではないので、細かいひな形にこだわっていると時間不足に陥る可能性があります。
どこに時間をかけるのかも合否に強く影響を与えることを意識しましょう。

不動産登記法だけでもそれなりのボリュームになってしまったため、商業登記法に関してはまた別の機会に。